化学・生命情報科学専攻分子・生物化学カリキュラム
化学を基盤とする学際的な研究・教育
基本的な考え方
現代の様々な課題を解決するためには、従来の学問体系の枠を超えた新たな研究・教育体制の創発が不可欠になっています。この世界的潮流の中で化学は、機能性物質や生命システムを含むあらゆるモノや現象を分子レベルで理解・制御する学問として進化し続けています。物理学、材料科学、生命科学などの広大な科学を革新する上で、化学が中心的役割を担うのは必然と言えます。本カリキュラムでは、化学を基盤とする学際研究を先導すべく、分子の構造や化学結合、化学反応を対象とする基礎研究・教育を深化させると同時に、医薬、農薬、機能性材料、バイオマテリアル、分子デバイスなどの開発・実用化に向けた応用研究を展開します。
カリキュラム構成
分子・生物化学カリキュラムには、以下の研究教育分野が含まれます。
分子触媒化学、有機金属化学、表面化学、物理化学、天然物有機化学、分子有機化学、生物化学、天然物化学、有機合成化学、分子生命化学、機能材料化学、理論化学、高分子化学、生体分子化学、生命機構化学
本カリキュラムでは、指導教員のみならず所属教員全員との討論を通じて、幅広い知識、柔軟な思考能力、ユニークで新しい創意工夫力、専門性豊かで確固たる自信、科学者としての責任感が身につけられるよう、教員と学生との緊密な関係を保ちながら教育研究指導を実施します。
化学・生命情報科学専攻創発理化学カリキュラム
理化学の深化と創発、そして未来社会へ
「創発理化学」に込めた思い
創発理化学カリキュラムでは、未来社会における資源・環境・エネルギー問題の解決と、より健康で安全な暮らしの実現に向けて、世界を変革しうる新しい物質や概念の「創発」を先導できる人材の育成を目指します。化学・生命情報科学に立脚した枠組みの中でこの理想を追求するには、細分化された専門領域を単に組み合わせるだけでは十分ではありません。私たちは、化学の中に物理や数理を織り込んだ「理化学」を基盤学術とすることで、新規な学理の構築から社会への実装にいたる様々なレベルで、理論、物質・材料、機能、デバイス、システム等の限りない創発に挑戦するための研究・教育環境を提供します。
カリキュラムの特徴
現代の化学は既に広範な分野を含んでいます。私たちが新たに基盤学術とする理化学は、これまでの化学にとらわれない物理や数理を織り込んだ「新しい化学」です。これをともに学びサイエンティストやエンジニアとして成長していくためのカリキュラムを用意しています。物質・材料に関連した化学の理解を深化させながら、理論・計測・計算・シミュレーション・工学を含めた物理的・数学的な視点を加えることで、理化学的な思考と創造が可能な基礎を身につけていきます。こうした理化学的基礎学術をもとに、さらに高度で専門的かつ学際的な研究活動に取り組むことで、物質・機能・システムのデザインと制御を通じた創発へと繋げていきます。
化学・生命情報科学専攻生命システム情報カリキュラム
生命現象をシステムとして理解するための、
生命科学と計算機科学の融合
基本的な考え方
生命システム情報カリキュラムは、「生命現象をシステムとして理解する」ことを目的とし、生命科学と計算機科学、工学分野を融合した学際的なアプローチを推進します。分子細胞生物学、創薬化学、バイオイメージング、生物物理をはじめとしたウェットバイオロジーとバイオインフォマティクスをはじめとした情報科学を統合することで、生命を「システム」として網羅的に理解し、新たな視点を生命科学研究に導入します。慶應義塾大学内外の多様な研究機関と連携し、境界領域における先進的な研究を進めるとともに、国際的な競争力を持つ人材の育成を目指します。本カリキュラムではプロジェクト研究を通じ、学際的な視点から新たな知見を創出し、社会的な課題解決に貢献します。
カリキュラムの特徴
生命システム情報カリキュラムは、分野融合が進んだ次世代の生物学を意識した基盤学術科目とプロジェクト研究を中心に構成されています。基盤学術科目では、生命システム情報分野に必要な基礎知識を体系的に学びつつ、学生の自由度を尊重した履修計画を設計します。プロジェクト研究では、研究室を超えた共同研究を奨励し、計算機科学と生物学の融合分野での実践的な能力を養います。これにより、計算機科学と生命科学の双方に明るく、システムとして生命現象を捉えることのできる学生の育成を目指します。さらに、指導教員が個々の学生の履修履歴や研究テーマに基づき、きめ細かな助言を行い、研究計画の立案から実行・解析までをサポートします。
