
先端数物科学専攻数理科学カリキュラム
先端数理科学を目指す
数理科学とは
「数理科学」とは、数学および数学と諸科学との関係領域に構築された学問分野の総称です。数理科学の研究活動においては、数学理論(いわゆる純粋数学)の探究とともに、現実現象の記述手法(抽象化・定式化・モデル化)の開発も重要なテーマとなります。1981年、慶應義塾は他大学にさきがけて、日本で最初の数理科学科を設置しました。それから40余年を経た今、数理科学はあらゆる科学技術を語る共通の言葉として、従来の理学・工学分野はもちろん、人工知能の理論的基盤から経済学の現象記述にまで至る広範囲の領域をカバーしています。
数理科学カリキュラムの研究・教育
数理科学カリキュラムでは、純粋数学、応用数学、統計科学を核とする多岐にわたる研究が行われており、スタッフは、微分方程式論、幾何学、確率・エルゴード理論、整数論、離散数学、計算数学、統計科学などの分野で、国内外に広く知られ、高い評価を得ています。最近では、分野を超えた共同研究も活発で、様々な研究が有機的に結びついた研究プロジェクトも成果を上げています。数理科学カリキュラムのスタッフの指導を受け、所定の単位を取得し、学位論文の審査に合格すると、それぞれの興味や研究分野に応じて、修士課程の学生は修士(理学)または修士(工学)の学位を、博士課程の学生は博士(理学)または博士(工学)の学位を取得することができます。
先端数物科学専攻物理学カリキュラム
自然界の謎を解き明かし、
人類の知の発展に貢献できる人材を養成する
基本的な考え方
物質は素粒子、原子核、原子・分子・イオン、固体・液体、生物、星、宇宙と連なる階層構造を形成しています。これを踏まえ、物理学カリキュラムには、素粒子物理学、原子核物理学、物性物理学、生物物理学、宇宙物理学、レーザー物理学の研究グループがあります。また、理工学研究科の一員として、工学との関わりを重視しており、物性物理学の教育と研究にも重点を置いています。物理学の様々な分野の第一線で研究しているスタッフ全員が協力し、物理学の専門教育にあたっています。
カリキュラム構成
物理を広く深く理解することが、将来どのような変化にも適応し、社会に貢献できる人材となるための条件であると考え、物理学の様々な分野の基礎的、および先端的な講義が用意されています。さらに、毎年数名の非常勤講師の方々に、他分野の研究成果について講義をお願いしています。大学院教育の到達点の一つは、独立した研究者を世に送り出すことにあり、学生は広い学識に加え、問題に対する強い好奇心、困難に遭遇してもたじろがない勇気、粘り強さを身につけなければなりません。物理学カリキュラムのどの研究グループも、優れた研究成果を上げてきた研究者に率いられており、学生は講義や研究室での研究活動を通じ、研究者としての資質を身につけることができます。
先端数物科学専攻物理情報工学カリキュラム
物理と数理を基盤として、世界を革新する
基本的な考え方
複雑な自然・生体・物質を情報の面から理解する動きが進んでいます。しかし多くの物理現象について、まだまだ工学応用に必要十分な情報が引き出せていないのが実情です。物理情報工学カリキュラムでは、物理学を基盤として、新たな計測技術と情報処理技術の開発を目指すとともに、アナリシスやモデリング等の数理的手法を援用して、機能性材料・素子や生体工学システムの設計などの開発に応用していきます。
カリキュラム構成
物理情報工学カリキュラムでは、物理学と数学を基盤として応用物理学、エレクトロニクスとシステム科学の先進的・発展的内容を学び、これらの知識を、真理の探究、新しい価値の創造や社会の発展と持続に寄与する応用力、創造力および総合力として醸成する科目を設置しています。前期博士課程(修士課程)では、専門性育成科目群として、下記にあげるような座学型科目群を通して、上記の基盤となる分野を学びます。また、実践型科目において専門分野の知識をより深めるとともに、プレゼンテーション能力、討議能力を養成します。
座学型科目群: シミュレーション工学、センシング工学、医用光工学、生体制御、量子エレクトロニクス、量子力学の数理工学、生体分子システムの数理、スマートシステム設計論、応用プラズマ工学、光学材料特論、表面界面科学、スピン・ナノ物性物理学特論